生活習慣病や閉塞性動脈硬化症に起因する足病変の増加で注目されるフットケア

糖尿病などの疾患におけるケアが重要 高齢化社会を迎え、皮膚疾患の様相も大きく変わりつつあり、皮膚潰瘍も例外ではありません。

従来、糖尿病性の足病変の患者さんの殆どは欧米を中心に見られていました。しかし、近年は日本でも糖尿病などに起因する足病変に悩む患者さんが多くなり、フットケアの重要性も増してきています。

フットケア診療の特徴は皮膚科は勿論のこと、内科や形成外科、血管外科、整形外科などの幅広い診療科目の知識が必須なだけではなく、医師、コメディカルがそれぞれの専門職を生かしたチーム医療が求められるという点にあります。

日本フットケア学会(JSFC)では、フットケアに関する優れた知識とスキルを持つ医療関係者を育成する目的でフットケア指導士の認定試験を導入するなど、この分野における診療が広く認知されつつあり、専門外来を新設する医療機関も増えてきました。

外来の患者さんを問診する際のポイント

皮膚や関節、神経の仕組みを理解する フットケア外来に来る患者さんの多くは、下肢の疼痛、しびれ、潰瘍などの症状を訴えてきますが、これらの症状は足の局所的な問題から発生するだけではありません。

すなわち、糖尿病や腰椎椎間板ヘルニアなどの「神経疾患」、閉塞性動脈硬化症(ASO)やリンパ節炎などの「脈管疾患」、外反母趾や変形性足関節症などの「骨・関節・筋肉・腱等の疾患」、細菌やウイルス感染による「皮膚疾患」など、全身疾患の一部としても起こってきます。

足の症状はさまざまな疾患から生じるため、医師は問診に時間をかけて、症状の部位、経過、既往歴などを詳しく尋ねた上で疾患を推測しないと、袋小路に迷い込む結果となりかねません。ここで例として、外来患者の症状として最も頻度が高い「しびれ」の診断について見てみましょう。

痺れは年齢によって、①20歳代なら、外反(内反)母趾、靴が合わないことによる胼胝(たこ)、中足骨骨頭部痛など足の局所的な問題によるものが多い、②30~40歳代は、これらに加えて、腰椎椎間板ヘルニアや開帳足、痛風、アキレス腱周囲炎、足底筋炎、関節リウマチなどが増えてくる、③50歳代以降になると、変形性足関節症、後脛骨筋機能不全による偏平足、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症、腰椎疾患なども増加する…といったように疾患の頻度が違ってきます。そのため、医師はまず最初に患者さんの年齢から足疾患を推測することになります。

次にどのように痺れるのか(ピリピリ、ジンジン、感覚が鈍る感じなど)を具体的に尋ねて、①感化鈍磨、②感覚過敏、③異常感覚、④錯覚感のどれに当てはまるのかを推測します。例えば、「ジンジンする」「ビリビリする」という痺れを訴える場合、最も多いのは単(多発)ニューロパチーですし、刺激を加えた場合に予測されるよりも強い痛みを伴う痺れを訴える患者さんの場合は、末梢神経障害の初期症状として多い感覚過敏が疑われる、といった具合です。

続いて尋ねるのは症状の経過と部位です。痺れの発症様式と経過、部位がわかれば、ある程度、疾患を分類することができます。症状と経過では、まず突発的なものとしては、脳血管障害、脊髄血管障害、足の外傷などが考えられますし、急性または亜急性のものだと、炎症や感染症、寛徐進行型では多発神経炎、腫瘍、変形症などが考えられます。症状の部位で見てみると、右もしくは左半身だけが痺れる場合、脳血管障害が疑われますし、手袋・靴下が他の痺れでは、多発ニューロパチー、顔面と体幹・四肢の障害が左右交代に起きる場合には延髄の梗塞が、それぞれ疑われます。

求めらるのはチーム医療 また症状の変動を訊くことも重要なポイントです。閉塞性動脈硬化症(ASO)や糖尿病性末梢神経障害、腫瘍などでは夜になると痺れや疼痛が増してくるのが特徴です。

またASOでは歩くと症状が悪化するのに対し、糖尿病性末梢神経障害では歩くことで症状が改善されることもあるなど、疾患によって異なってきます。また、長距離の歩行で起きる足の疼痛には足底筋(腱)膜炎、偏平足、種子骨障害などがあります。

これらの他、問診では糖尿病や脳血管障害、痛風、高血圧、高脂血症、関節リウマチなどの既往歴の確認を行います。

脚のかゆみ、ほてり、違和感などの症状が現れて十分な睡眠が確保できない「むずむず脚症候群」の診断と治療は、本来、神経内科や睡眠障害の専門外来で行いますが、患者さんは皮膚症状を勘違いして皮膚科や整形外科に来ることもあります。関連する診療科の医師はむずむず脚症候群の可能性を考慮して、紹介状を書くことも求められます。

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